クィア・ミュージックの情報アーカイブ


Queer Music Review -Live Review-

Scissor Sisters Night Work LIVE

2011年2月9日 at Zepp Tokyo

出演:シザー・シスターズ (Scissor Sisters)

このライブ観覧記は、当サイト運営者が SNS の mixi で Web 日記として公開していたテキストを改訂して再録したものです。テキストの性質上、文体も内容も、かなり軽めです。

2月9日は、シザー・シスターズの Night Work LIVE@Zepp Tokyo を観てまいりましたー!

今回、私が陣取っていたのは、1階スタンディングの、しかも前のほう。

だから、メンバーの表情も、くっきり、はっきりと見えました。

これまでにも洋楽アーティストの来日公演は当然何組も観てきていますが、たとえば何人ものダンサーをフィーチャーした、スタジアム級のショー形式のものはまた別として、歌と演奏のみで構成されたロック・バンドのライブ・ステージとしては、今回観たシザーズのライブが、いちばん素晴らしかったです。いや、ホントに。

シザーズのパフォーマンス・スタイルそのものはロック的。だけど音楽のほうは、ロックというよりも、踊るためのパーティ・ミュージック。特に最新(当時)アルバム『ナイト・ワーク (Night Work)』は、完全にクラブ・ミュージックの領域にまで針を振り切っています。

だから、そのライブ・パフォーマンスには、クラブ・イベントと同種の高揚感がある。

そして、メンバーがオーディエンスに求めているのも、まさにそういう盛り上がり方なんです。

ロック・コンサートとクラブ・イベントの両方の良いところが、ひとつに融け合っているのが、シザーズのライブなんですね。

そして、そうしたカラーのロック・コンサートは、私にとっては、ほぼ理想的なものなんです。

今回のライブの中核となっているアルバム『ナイト・ワーク』は、シルヴェスターやパトリック・カウリー、クラウス・ノミといった、エイズによって早くに亡くなってしまったゲイのディスコ・ミュージシャンたちが、もしも今日まで存命していたとしたら、いったいどんなダンス・ミュージックを作ってくれていただろうか? というコンセプトのもとに作られた、素晴らしいアルバムです。

そして、ゲイのオーディエンスのかたがシザーズのライブを実際に観たら、唯一の女性メンバーであるアナ・マトロニックのことが、絶対に大好きになる。

アナ姐さんは最高です!

MC のほとんどは、ジェイクではなくアナの主導で進行するんだけど、たぶん彼女は、日本語のフレーズとか単語を、最初からいろいろと知ってたみたい。段取りにしたがって日本語を繰り出してくるのではなく、英語と日本語のチャンポンというか、思わぬタイミングで意外な日本語がツルッと自然に飛び出してくるのが面白かったです。

たとえば、4曲目「シーズ・マイ・マン (She's My Man)」のパフォーマンスのあと、アナはオーディエンスに向かって、

「私たちシザー・シスターズは、ガイジンじゃなくて、ゲイジン。シザー・シスターズはあなたたちのトモダチ、だけど今夜、私たちシザー・シスターズは、ホ・モ・ダ・チ!」

この MC は英語だったんだけど、「ガイジン」とか「ゲイジン」、「トモダチ」、「ホモダチ」といった単語は、カナ表記どおりの日本語。

――いったいどこで「ゲイジン」とか「ホモダチ」とかいう日本語のダジャレを仕入れてきたんだ? って感じです(笑)。

このほかにも、短髪・ヒゲ・ガチムチのイカニモ系で、ゲイからの人気が高いマルチ・インストゥルメンタリストのベイビーダディを紹介するときに、アナは彼の肩に腕を回して、英語で彼を紹介したあとに日本語で一言、「カワイイ?」

この紹介の仕方は、明らかにゲイ男子のオーディエンスに向けてのものです。

さすがはアナ姐さん、よくわかってらっしゃいます(笑)。

実は私、シザー・シスターズにおけるアナの役割を、実際にライブを観るまでは、セカンド・ボーカリストだとかバック・コーラスのように考えていました。実際、アナがリードを執っているナンバーは、CD のほうではそんなに多くはないので。

でも、実際にライブを観てみると、そんな考えは大間違いだということが、よーくわかりました。

リード・ボーカルのジェイクと、そしてアナは、完全に対等の存在。

確かに、ボーカルの技量そのものはジェイクのほうが上。だからといって、アナが歌えないというわけでは全然ない。それに、ステージ・パフォーマーとしての存在感は、場面によってはアナのほうがジェイクを上回ってすらいます。パントマイムを取り入れた華麗なステージ・アクションが、オーディエンスの目をものすごく惹きつける。

ゲイである私は、ジェイクの鍛え上げられた見事な胸筋とか腹筋、あるいは股間の膨らみとか(笑)、そうした視覚的なエロティシズムの要素にも目が向かっちゃうんだけど(笑)、それ以上に、私はアナから目が離せなかったです。

加えて、CD のほうではジェイクがリードを執っている曲も、こちらのライブではアナが何曲かでリードを担当していました。

ジェイクとアナの2人は、ボーカリストとして、パフォーマーとして、完全に対等で、場面によっては相互に補い合い、あるいは引き立て合っている、不可分な2人なんです。

アンコール前の最後の1曲、「フィルシー/ゴージャス (Filthy/Gorgeous)」の演奏が終わり、ジェイクとアナの2人はしっかりと手をつないで、ステージの中央にピッタリと背中を合わせて立っていました。

その姿は、ジェイクとアナがまさに2人で1人であることを、象徴しているかのようでした。

その事実を、藤嶋は今回のライブで、自分の目と耳で、はっきりと認識しました。

ラスト・ナンバーは、『ナイト・ワーク』からの最新(当時)シングル「見えざる光 (Invisible Light)」。今回のライブでは、大サビでのアナの衣装が、映画『里見八犬伝』の玉梓みたいでアガった!(笑)


というわけで。

このライブを観て以降、私にとって「最もゲイ・フレンドリーな歌姫」といえば、シザー・シスターズのアナ・マトロニックに決まりました。

アナ・マトロニックこそ、世界最高のゲイ・フレンドリーなディーバ! そう決めた!(何様)

Scissor Sisters ツアー・パンフレット
左が、今回のライブのパンフレット。前回の Ta-Dah World Tour のパンフ(右)も、もれなく付いてきました。ということは、前回のツアーは不入りだったのか……?

Text and Photo by Takaki Fujishima



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